あなたは 人目の迷い子です

2005年05月12日

Somewhere, somewhat, in Phantasmagoria

1999、夏。

「貴女の血を吸った蚊が
空気の匂いと夏と貴女を運ぶ
火垂るの群はオレンジに光って
赤に変色し
貴女の唇を描く

私は火垂るの群のテールライトを
指でなぞり
貴女の赤い唇を描く
優しい紅に染まった貴女の唇を
貴女を再現しながら」

夏休み中、離れて暮らしていた当時の彼氏からのラブレター。
愛しても愛しても、もっと愛したかった彼氏からの詞。
蒸し暑い初夏に書かれた、ラブレター。
彼の匂いがするこの詞をお守りのように抱きながら寝た夏。
この1通から始まり、何通も交換したラブレター。

ただ、ひたすら、
わたしにはこの人しかいない、
この人しか愛せない。
この人を生涯ずっと愛していたい。
離れたくない。

若いとしか言えない気持ち(笑)。

色んな事があって、想い出を汚されても、この夏は永遠に存在するもの。
どんな事があっても彼からのラブレターを捨てられないのは
未練があるからとかじゃない。
忘れられないとか、そんなものでもない。

彼の手紙と詞はわたしが心から愛して愛された証しの1部。
愛なんて、身が焦がれる愛なんて存在しないと思っていた頃
愛された、形として残るもの。

お願い。
わたしにもう1度愛というものを信じさせて。
そんなわたしの祈りのお守りとして彼の手紙と詞が多数まだ手元に。

でも、どうして今まで以上に7年前の夏を酷く恋しく思うのだろう。
恋しいだけじゃなくて、
思い出せそうで思い出せない懐かしい日々が再現される
ような不思議な感覚。

このバーミンガムに居るから?
不思議。
あの頃に戻りたいとか、そんな気持ちはないのに、

手を繋ぎながら一緒に買い物したスーパーや
朝から夕方まで演劇の事を熱く語ったカフェ
働きに行くわたしを見送ってくれたバスストップ

良い事ばかり思い出して、
良い想い出しかない場所が目に止まって
そんな気分に酔うのが気味が悪いぐらい。

もう、この街を出ないといけないというサインなのか、
ただ、懐かしいだけなのか。

2005年、5月11日。

陽射しが、とってもきつい。
眩しい。
posted by シルビア at 02:51| Comment(1) | TrackBack(0) | LONG LOST LOVE LETTERS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月27日

シルビアさんには昔、沢山の男友達がいました。
ガールズ達とは違って濃い映画や、車の話、呑み会とかするのに毎日のようにどんちゃん騒ぎしてバカやって楽しめていたグループがありました。

わたしが結婚を前提に付き合っていた人はその中の1人でした。
その人とは18の時に出逢い、19歳になってから付き合い始めたのですけれども、色んな理由で仲は破綻しました。今でもそれがわたしの心の中での大きな穴のようなものになっています。

しかし、彼との仲が破綻した後、わたしの病気は悪化したので、ボーイズ達がよく面倒を見てくれていました。「寂しい」と電話するとすぐ飛んで会いに来てくれたり、話をしてくれたり等、よくお世話になったものです。

その中の1人は元彼と親友でしたので、そうそうわたしのところに面倒を見にくることはなくなったのですが、わたしがどんなに酷い状態に陥ろうと逃げなかった人が1人いました。

彼は見た目もかっこよく、その為よく人から怖がられていたのですが、本当は兎を飼うぐらい癒しを求めるおっとり屋さんで、そしてジェントルマンでした。わたしが住んでいた所より最低30分はかかる所に住んでいたのですが、わたしが「今、しんどい、寝れない」と電話すると、電話で話してくれるだけでもいいのに、走ってわたしに会いに来てくれていました。

彼とは大学1年生の時に同じ寮で知り合ったのですが、彼はわたしを高飛車な女だと思い込んでいたらしく、お互い話し合うまで結構時間がかかりました。でも、とある日、クラブに行った後、酔っ払った彼がわたしの部屋を訪問(笑)してくれて、「御伽噺を読んでくれないか」と真顔で言ったのです。「本当に聞きたいの?」の問いかけに「うん、聞きたい」と、言い、部屋に帰りました。彼と彼の同居人は部屋の電気を暗くして、まるで子供のようにベッドで御伽噺を聞く体制でして(というか、わたしが部屋に行くまで待機していた・笑)。わたしは「本当にこんな幼稚なことをしていいのだろうか、なんか騙されていないか」と思っていましたが、彼の大好きなホメロスの「イリアス」の何章節かを読んでいくと2人してすやすや眠っていました。それが好評だったのか、わたしは毎晩彼等のところへ行き、座談をし、御伽噺をし、と、とても平和的なことをしていましたが、彼との友好関係も深まり、同じ大学でのいい戦友となりました。

彼はとってもドライなところがあり、わたしのアホな天然発言を聞けばツッコミを入れ、またそのお兄ちゃん的な存在がシルビアは大好きでした。呑み会に行った時も彼が飲みすぎて、わたしが彼を背負って帰ったこともありましたが、わたしが精神安定剤を飲んでいる上にストレス発散の為、アルコールを浴びるように呑んだ時、彼は街のど真ん中から家へ背負って送ってくれたこともありました。

そんな仲だったからでしょうか、2年生になっても彼のボーイズ宅にて料理を作りに行ったり、バーベキューしたり、遊ぶ時は必ず一緒でした。

わたしの調子が物凄く悪い時にわたしは部屋の片付けさえできませんでした。決断力がなくなり、やり気もなく、途方に暮れていた時、丁度彼がメールしてきたので「助けてくれない?」と言うと、また走ってきてくれました。彼は綺麗好きで片付けも上手いので、ジョークなんか加えながら一緒に整理してくれましたし、重たい荷物は下に運んでくれました。

わたしが眠れない時にはなるべく傍にいてくれましたし、元彼のように弁が達つ人ではなかったので、1年生の時にわたしが御伽噺として読んでいた「イリアス」を今度は彼が読んでくれていました。わたしのフラットメイトによると彼はわたしが眠るまで帰らなかったようです。

3年生になった頃でしょうか。
もっと頻繁に会うようになり、沢山バカげた事もしました。
でもわたしの病気は悪化していくままで。
わたしの当時のフラットメイトがあまりにもアホちゃん過ぎておかしくなったというところもありますが、もう色んな意味でズタズタでして。元彼からの殴りこみ電話、色んなことが積み重なってふらふらになった時、1度彼と呑みに行ったんですね。
するとフラットまで送って貰って、部屋に入ると、
「肝心な話がある」
と言うのです。
なんだろう、とほろ酔い状態のわたしは床を見詰める彼の横顔を見ていました。
「実は俺はお前のことを愛してるんだ」
わたしはあまりにも冗談が過ぎた言葉だと思ったので、
「ちょっとやめてよー悪酔いしたの?」と酷いことを言いましたが、彼は語ってくれました。
「俺はあまり人に心を開かない。好きになるとしても愛なんて信じていなかったし、いつも一歩踏み入れられる前に俺は境界線を引いていた。でもその境界線を越えたんだよ、お前は」
これは真剣な告白だと唾も飲み込めない状態でして、わたしは、「わたし、病気よ?いつも迷惑かけてるし」と言うと、
「俺はお前と結婚したい。一緒にこの病気を超えていく志だってある」と言うものですから、わたしは少し冷静になって、「今アナタが同居しているのはわたしの元彼よ?彼になんて言うの?」「あいつなんかもう過去のことだし、俺は何を言われたってなんともない。付き合ってくれないか」。

戸惑うどころか、パニックになりました。
大事な友達がここまで言ってくれている。
でもわたしのフラットメイトは彼の元彼女という大変複雑なものだったので、すぐに答えは出せなかったのです。
「また、お酒が抜けてから話しましょう」
そう言ってその夜は解散したのですが、次の日、双方、講義が終わり次第カフェに入って話し合うこと3時間。

「俺と結婚したら、ウエストミンスター寺院で結婚式挙げれるぞ〜優雅な生活もできるぞ〜」と笑いも含め(何を隠そう、彼はウエストミンスター寺院学校のOBである)、またプロポーズしてくれたのですが、わたしは思いました。

今のわたしじゃ、こんないい人を幸せにできない。
と。涙が出そうでした。
わたしも何も彼を一人の異性として見ていなかった訳ではないのです。わたしにここまで尽くしてくれる人を、もし付き合ったとしても、周りから祝福されない関係を持って幸せにできる筈がない。わたしの病気は思う程甘いものじゃない、ローな時は傷付けるかもしれない。そう思った時点で躊躇したと言えどわたしはもう決断していました、答えを。

「ごめん、今は誰とも付き合う気がしないし、ましてや結婚を前提になんて無理。元彼をひっぱってるの、知ってるでしょ?」と言い切ったが彼は諦めなかったのです。
「あんな奴の為にどうしてそこまで苦しむ必要があるんだ?俺の方がお前を幸せにしてあげれるし、仲だっていいじゃないか。俺では不服か?」
「そうじゃない、ただ、縁がないのよ、わたし達の周りが周りだから」

彼は頭も切れる非常に賢い人なのでそれ以上は突っ込まなかったのですが、ただ、彼がわたしに告白したことは彼の家でも知れ渡り、少しの間だけ皆彼に口を利かなかったといいます。

この話はこのカフェで終わったのですが、わたしは雨が降る寒いバーミンガムの中、もう彼とは2度と以前のような関係は取り戻せないと、彼が帰って行く後ろ姿を見て痛感しました。

「この病気を一緒に超えよう、力合わせて!幸せにしてみせる、絶対に」

一生忘れませんよ、Piers、ありがとう。
posted by シルビア at 08:15| Comment(4) | TrackBack(0) | LONG LOST LOVE LETTERS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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